古民家・伝統構法

2005年08月30日 00:44

今、築50数年の民家の屋根葺き替えをしていますが、古くなった和瓦(桟瓦)を降ろす中で、感じたことが幾つかありました。

 

50数年の間、時々補修しながら使い続けてきた瓦屋根でしたが、下地の傷みなどから瓦がずれてきて、雨漏りの気配がしてきたために、今回葺き替えを行うことになりました。

 

和瓦屋根そんな中でまず第一に感じたことは、瓦の耐久性が優れていることには大変に驚きました。 

 

風雨と夏の融けるような暑さ、そして冬の凍るような寒さに50年以上の間さらされながら、瓦自体はまだまだ充分に使えそうなものでありました。

 

和瓦棟そして次に感じたことは、瓦を安定させるために使われている葺き土の多さと重さに驚いたのですが、特に棟にはかなりの葺き土が使われていて、この和瓦屋根の重さは200kg/坪近いことと思います。

 

最近の桟瓦はこれほど葺き土を使用せず、かなり軽量化されてきたことでしょうが、それでも瓦屋根は重量があるため耐震性に不利であるといわれています。

 

この瓦屋根の重さに関して「耐震性に不利である」こととは逆に、これほど重い瓦屋根を支えてきた日本の民家の堅牢ぶりに、改めて感心しました。 最近の多くの家は、この瓦の重さに耐える自信がないということでもあり、25年寿命の造り住宅に瓦屋根は、無理な話となるのでしょうか。 

 

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2005年07月11日 21:44

6/30にお届けした土蔵修繕」も終わり、ご覧のように外部は真っ白な漆喰壁の仕上がりとなり、この蔵もまだまだ50年や100年は活躍してくれそうです。土蔵14

 

外壁周り漆喰塗りの上部に鉢巻、下部に腰巻

 

土蔵13

 漆喰: 消石灰に砂、フノリ(膠着剤)、麻などのすさ(ひび割れ防止)等を混ぜて水で練り上げた塗り壁の材料

 

鉢巻: 土蔵造りにおいて防火のため粘土と漆喰で厚く塗りこめている軒裏部分

 

腰巻: 外壁の裾周りの部分で塗壁でなく、土を水平に薄く積み上げた「タタキ」になっており、耐水性・耐火性がさらに高くなっています。

 

写真下の地松の大梁は土蔵に使われていた地棟で、数年前に近くで取り壊された土蔵に使われていたものです。 土蔵12

土蔵11地棟: 棟木のすぐ直下に棟木と平行に置かれている梁で、頭のつかえる小屋梁を省略するために架けられる。

 

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2005年06月30日 07:52

新潟を始め、北陸や東北地方の一部で、局地的な大雨による被害が出ているようです。

しかし、九州・四国地方では逆に水不足となっていて、こちら関東地方でもまとまった雨が降らず、「草木ダムの貯水率」は、6/29現在42%にまで落ち込んでいます。

この「ダムの貯水率・貯水量」とは、「冬(105月)の満水」と「夏(69月)の満水」とがあり、「夏の満水は冬の約60%程度の貯水量」を指しています。

今日は久しぶりにまとまった雨となっているが、水不足を解消するほどにはまだまだ至らぬようである。 


先週より、民家の土蔵の修繕が始まりましたので、一部ご紹介します。

 

土蔵外部の漆喰仕上げの塗り替えが主でありますので、殆ど左官屋さんの仕事となります。

土蔵2土蔵1

写真は、

古い漆喰を落として

腰周りを下塗りし

足場をかけ始めた

ところの写真です。 

 

 土蔵の左官仕上げは、左官屋さんなら誰でも出来る仕事ではないようです。 

 

土蔵6

 今回、ここを任された左官屋さんは、

地元のベテラン左官屋さんで、

土蔵の仕事には手馴れた方です。

 

このお宅は2つの土蔵を所有しています。

(写真3番目)  

 

土蔵5

 

また、この辺の地域は蔵を所有するお宅が多く、

この近所の蔵の画像も幾つかアップしました。

(下段3枚の写真) 

 

 

土蔵3土蔵4

 

 

 

 

 

 

 

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2005年06月24日 22:00

梅雨空もどこかに行ってしまったようで、関東地方ばかりではなく全国的に晴れ模様の天候のようです。

梅雨前線はしっかりと日本列島の南岸沿いに横たわっていますが、週間天気予報では「おひさまマーク」が並び、「今週は太平洋高気圧に覆われ暑い日が続くでしょう」と、お天気キャスターも言ってますが、「本当なの?」と首をかしげている私です。 

昨年の梅雨は「照り梅雨」であって、逆に秋雨が梅雨以上に長雨の大雨となってしまいました。

今年もそんな様子が見られますが、雨季の本番が秋口にシフトしてしまったのでしょうか?


桐たんす昨日の我が家の出来事ですが、母が2階の納戸を整理していまして、納戸の奥に埋もれていた昔の桐たんすが、何十年ぶりに往年の姿を現しました。 

他所(よそ)で時々、渋いアンチックな桐たんすを見ることがあり、「木の家」などにはマッチしそうな良い雰囲気を感じていましたが、我が家に眠っていた掘り出し物には気が付きませんでした。 

昔はたんすと言えば桐たんすが当たり前であって「女の子が生まれると庭や畑に桐の木を植えて、嫁ぐ時にはその桐の木でたんすを作り、嫁ぎ先に持たせた」といった時代もあったようです。   ホームページ

 

を植えるということはこの桐の木に限らず、どんな木でもそれぞれ植えた人の思いがあるはずです。

私たちの周りの杉や檜の木は、今では安価なために所有者に見放され、また春には花粉をまき散らすがために世間からも厄介者扱いにされていますが、「未来の子供たちのために」と植林した先人の思いも大切にして、木をあつかって行きたいと考え、また発信していかねばと思っています。


 73日(日) 館林市において下記行事を開催いたします。

☆ 「ぐんま・森林と住まいのネットワーク」通常総会

☆ 構造建築家「山辺豊彦先生」の基調講演

詳細は こちら をご覧下さい!


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2005年05月17日 01:03

今日から、近くのY様からの依頼により、床の張替えの工事が始まりました。
 
27年程前に張ったフローリングの張替えで、下地からそっくりやり直しとなり、新しく張る床板は、檜の無垢縁甲板です。
今日は、お勝手(台所)の床板張替えでしたが、お客様のお母さんとの雑談でこんな会話がありました。
 
「この場所は昔は馬小屋だったみたいだね!?」
近くの5寸柱を指差し
「ほら、その黒い柱に何ヶ箇所のホゾ穴(貫穴)が残っているだろう!」
このお宅は、昔は“くずや(茅葺屋根)”であって、200年近く経っているそうででした。
 
私の自宅は「築何年か?」と聞かれ「丁度50年程」と答えたところ、
「50年では、まだまだ新しいんだね!」
と、言われました。
 
9fdf1884.jpg
確かに昔の家(民家)は、100年200年の寿命は当たり前であったわけです。
我が家は50年前の建築で、戦後建てた住宅ですが、8寸角のケヤキの大黒柱と4.5寸角の柱が立ち並んでいます。
(そういえば「大黒柱ってえのは“女”なんだ」てことを、最近何かの本で読んだ気がするけど、何でしたか?)
 
今の日本の住宅寿命は26年前後といわれますが、昭和30年以降急激に住宅の質が低下したようです。
昭和25年の“住宅金融公庫の仕様書”の発行を期に、住宅そのものも大量生産・消費の一員となり、家づくりそのものが180度の方向転換をしてしまったようです。
 
そんな、こなしの家づくり時代は既に終わり、今、21世紀の新しい家づくりが始まろうとしていますが、昔を見直すことで多くのヒントが与えられるようです。
 (写真は、我が家のケヤキの大黒柱です。)
 


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