2005年07月21日 08:47
売れない!伐れない?杉の木
7月に入ってから毎日梅雨空が続き、まったく梅雨が明ける気配がありませんでしたが、どうにか梅雨明けを迎えましたが、未だに冷夏の予感は拭えません。
とは言っても今日から、子供たちにとっては嬉しい夏休みがいよいよ始まりました。
昔の話をするようになると「歳を取った証拠だ」などといわれますが、私が小・中学校の頃の夏休みの話になりますが、既に30年以上経った今でも思い出深い山との関わりを思い起こします。
『20haほどの山林を所有していた我が家ですが、当時は各地で植林の最盛期であって、我が家の山も多少の杉檜の植林地があり、刈り払い(下草刈り)の山があり、夏休みになると親父に連れられて山の刈り払い作業に出かけました。
今ではエンジン式の草刈機が普及していますが、当時は大きな草刈鎌にて作業を行い、私は親父より一回り小さな鎌を持たされ山で下草刈りをしました。
おかげで人一倍の握力と忍耐力が付いたようですが、作業をする中で蜂に刺されたり蝮に出合ったり、また草と一緒に杉の苗木まで刈ってしまったなどの思い出が、山や木との愛着に繋がるものがあります。』
そんな手入れをしてきた杉や檜の木も、今では成熟して柱材以上が取れるほどの大きさになっていて、間伐などの手入れが必要となっています。
しかし、間伐でそれらの木を伐って原木市場に出しても、値段がべらぼうに安く、しかも売れない状況になっているのが、日本の木材の今の状況です。
4月頃までの原木市場は丸太が山積みの状況で、半分以上が売れ残りの山となっていました。
【上の写真は原木市場6月の状況ですが、これでも原木が随分減りました】
【下の写真は売れ残った原木の山ですが、よく見ますと白セキレイが雛を育てていて、市場の方は無理に原木を売らないでいました】
日本の木材の蓄積量は年々増加していますが、伐っても赤字の原木価格のため伐採量はここ数年横ばい状況と言う話です。
伐るべき木材は充分にありますので、価格が上昇すれば途端に伐り出す状況にあり、飽和状態になりますので、まだ最低でも10年は原木価格の上昇は望めません。
参考までに現在の杉の原木価格は約9000円/㎥前後で、ベイマツの1/2〜1/3の価格です。
また、間伐材を伐採して原木市場まで持っていく概略の経費は、伐採・搬出が6,000〜12,000円/㎥ トラック運賃が2,500円/㎥前後です。
これでは伐っても赤字になるのは当然で、これまで手入れして育てた経費などは全く出ない訳です。
とにかく皆さんに日本の木材を、少しでも多く使って戴くことを望むしかありません。
今回少しネガティブな話題になりましたが、本日も応援よろしくお願いします。
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コメント一覧
現実のお話を聞けて私は本当に勉強になりました。
原木市場の原木の山が減り始めるには何が必要なんでしょうかね。本当にやりきれない思いが残りますね。
とにかく我々としては、その木を活かして使ってやり、良い家を建てて国産材をPRすることだと感じています。
また山は、市場原理の元には成り立たないのが現実です。
間近に大きな行事を控え、かなりお忙しく奔走しているようですが、くれぐれもお身体を大事にしてください。