2005年07月01日 15:36
一昔前の丸太出し
梅雨空がまた戻ってきました。先週の週間天気予報では「夏空がしばらく続く」とありましたが、案の定そんなはずはありませんでした。
日本列島も大雨のところあり、水不足のところありで、ここ数年の気まぐれ天気(気象庁はあまり「異常気象」)という言葉を使いたがらないようだ)には悩まされます。
ただ、一年を通じ天気予報の予測しにくい月は「3月・6月・9月の季節の変わり目の雨季」であると、これは昔からお天気には関心のあった私の見解です。
さて今回の記事は、山の仕事に関することで、「一昔前の原木丸太の搬出方法」についてお届けします。
現在では、大型から小型まで「バックホー」などの道造り作業車が活躍する時代となり、山の中にも多くの作業道が開設され、丸太の搬出も林内作業車にて行われることが多くなりました。
私のところでは今、2月に伐倒し葉枯らしておいた杉丸太の搬出が始まりました。
もっと早くに搬出したかったのですが、どうしても建築の現場が優先となり、この仕事が今になってしましました。
その丸太搬出の山は、軽トラックが登れる程度の作業道は入っていますが、奥の一部に傾斜が急なところがあり、キャタピラの丸太運材車でも登れないため、今回は一昔前の丸太だし=そり(木馬)引きの復活となりました。
(写真1・・・丸太を積む前のソリ)
このそり(木馬)は、山(そり)道にワイヤーロープを張り、そりの先端の「かじ棒」という丸太部分にワイヤーロープを巻きつけブレーキ代わりとして坂道を下って引いて行く方法です。
(写真2・・・ワイヤーとかじ棒)
坂の勾配に合わせて、巻きつけるワイヤーロープを調整し、引いたりブレーキをかけたりして下ります。
勾配の緩やかなところは「ばん木」という横木を道に敷き、ソリを滑らすようにします。
(写真3・・・丸太は一段ずつ積み上げていきます)
この作業は雨が降ってワイヤーロープが濡れてしますと、ワイヤーと木のかじ棒のスベリがスムーズに行かないため危険となり、出来ません。
そしてまた、上り坂があるところでは引き上げなくてはいけないので、引くことが出来ないのです。
この時期のソリ引きは、空の様子を見ながら作業となり、天気がとても気になります。
また、このソリの道造りにもコツがあり、道を上手く造らないと横転したり、カーブが曲がれないようなこともあります。
ですから、最初の試運転の荷は軽く、道が安定してきたら除々に重荷とします。
(写真4・・・「試運転」上手く降りてこられました。)
そしてこの作業の一番の厳しいところは、このソリを担いで山を登っていくことです。
このソリは、樫材と杉材(樫材100%の物もあります)で造られていて、重い上に肩に食い込む痛さもあり、それを担いで急な山道を登るわけですから「なにクソ!」の気持ちがないと、とても担いでは登れません。
私のお尻は「ヒップアップしていて形が良い」と若い頃は言われましたが、それは中学・高校時代に親父に仕込まれた、この「ソリ担ぎ」によって養われたものと言えます。
体力に自身のある方は、是非一度この「ソリ担ぎ」に挑戦して下さい。
本日もお越し下さりありがとうございます。
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コメント一覧
私も大島さんの頑張りに支えられています。
また、そちらにお邪魔します。
渡良瀬川流域の水不足の影響はいかがですか?
「木馬」というのはよい名前ですね。
趣味ですが、数年前に大きな植木の移植やその他一人では動かせない重量物の運搬に、色々工夫した事があります。人間も立派な道具だということも発見しました。
木馬引きなど身体と道具が協働する仕事の大変さ、面白さを次世代に伝えたいですね。
この2〜3日の大雨で、水不足は解消ですね。
人間何でも楽することばかりを考えては、脳も身体も退化して駄目ですね。
以前、土木やさんが山に作業道を入れているのを見て「50年かけて育った杉の根を、重機で簡単にあっという間に引きこいでしまう様子に」少々複雑な思いがありました。